レバレッジド・バイアウトとは

LBO(Leveraged Buyout)。自己資金は少なくても、金融支援(=買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として銀行借入れなどをおこなうこと)を受けることによって、企業を買収すること(野村證券用語解説集より)

300億円程度の規模しかない会社が800億の金を借りて優良企業(ニッポン放送)の株を大量購入(しかも裏技的な手法で)したかと思えば、次は3000億を借りてフジテレビを買収に乗り出すという。相手の会社に借金を押しつけて乗っ取ることをフレンドリーな「事業提携」とは呼ばないのは子供でも分かる話だ。マスコミに連日露出して「ネットとテレビの融合」「事業提携」などと嘘をつき続けた堀江貴文という男は、結局、金まみれの脂ぎった乗っ取り屋に過ぎなかった。東京地裁にはアメリカかぶれの法律家が多いとは聞いていたが、こんなマネーゲーム男に暴走を許してしまった裁判官の近視眼的判断にはただ呆れるばかりである。株式会社というのは、経営者*1+社員+それを支持する株主から成立している組織である以上、株主にも一定の発言権を与えるのは原則論としては当然だが、だからといって経営権の乗っ取りを実質的な目的とするライブドアの買収行為を法的に支持してどうする? 自分の判断結果を見通せない裁判官ほど社会の害になるものはない。とりあえず、続く高裁では日本企業の経営を危うくするような司法判断が出ないよう願いたいものだ。経営陣や社員の賛同も得ず、金で株を買い占めた外部の人間が企業を乗っ取ることが罷り通ってしまえば、猫も杓子もマネーゲームに没頭して日本経済は金融面で大きな混乱に陥る。不況を背景にM&Aが流行した80年代のアメリカを今頃マネて得意面をしている堀江氏や個人投資家、ファンドのハイエナ的行為はあまりにも“ダサく”て腹黒い。これを支持する連中も輪をかけて軽薄。ただ、マスコミも堀江叩きばかりしてないで、ライブドアに金を貸している(貸そうとする)不届きな輩のことをもっと取り上げるべきだろう。彼らの“余った金”が今回の問題を深刻化させている最大の原因なのだから。
ライブドア、フジテレビ買収狙い3000億円調達へ
民放連、M&A対策でプロジェクト発足
ポニーキャニオン、フジサンケイグループへの残留要求要望書を提出
『新株』差し止め:やはり『適法だが問題』がある
株大量保有報告制度に見直し論・金融審

*1:経営者は社員の一部でもあるが、ここでは一応分けて述べている。