帝国軍をやっつけろ

orpheus2007-09-06

★★★★☆
東西線南北線のような軌跡を描いて接近中の台風などモノともせずに、帝国軍と交戦中である。といっても恋愛帝国ではなく、相手は泣く子も黙る銀河帝国ベイダー卿だ。スター・ウォーズのゲームは数あれど、この「エンパイア・アット・ウォー」は群を抜いて面白い(というか、ストラテジーものの中ではROME TOTAL WARやAOE3に匹敵する傑作だと思う)。映画本編で登場したキャラクターやユニットがカバーされているのはもちろんのこと、映画のエピソードに絡む行動(帝国軍の通信コードを盗む、バウンティ・ハンターを雇ってターゲットを抹殺する、ターボレーザー砲や基地シールドを無効化するためにパワー・ジェネレーターを破壊する)といったことが細部まで徹底的にフォローされているのが実に嬉しい。また、チュートリアルも非常によく練られていて、複雑なゲーム・システムを簡単に把握できるようになっている。などと感心しながら安易に同盟軍を選んでキャンペーン・シナリオを始めたら、序盤からキツすぎじゃないですか、ルーカス様!
本作はエピソードIVの10年前からスタートする設定のため、帝国軍はまさに絶頂期のローマ帝国大英帝国(あるいは遙かにレベルは下がるが現在のアメリカ)かというほどの軍事的脅威を有している。したがって、悠長に「我々は帝国軍と異なり、貧しい星から搾取するようなことはしません」などと聖人ぶっている余裕はない。反旗を翻した以上、敵の息の根を止めるまで宇宙に平和は訪れないのだ。とはいえ、資金難で戦力不足の我らが同盟軍にとっては拠点防衛が序盤の最優先課題である。もし正面から戦闘になった場合は(特に本格的な地上戦にでもなったら)まず物量面で持ちこたえる力は(先の大戦における日本のように)ない。そこで帝国軍の研究施設にスパイを送り込んで最新技術を盗んだり、アカデミーを作って新兵の育成に勤しむ、いわば基盤固めの毎日なのである。ところがこのキャンペーン・モードでは、困ったことに開発最終段階のXウィングを奪取するという計画が早々に進行しており、拠点防衛用の貴重な兵力を惑星フリージアに投入しなくてはならない。だが、すでにその前段階の作戦として惑星ウェイランドで多くの兵士とT2Bリパルサー・タンクを失っているので、気分はすでにミッドウェイ後の連合艦隊司令長官である。序盤のタンクは、キャンペーン後半のモン・カラマリに匹敵するのだ(笑)。
ということで、一体こんな無茶な奪取作戦を立案した奴はどこのどいつだ!と叫びたい気持ちを抑えつつ、目的の大地に虎の子の部隊を降下。しかし予想通り、偵察に出したタンクは敵砲台の餌食となり、歩兵はAT-STに掃討され、頼みのプレックス兵も待ち伏せしていたストームトルーパーにもれなく蜂の巣にされ、我が部隊はあえなく全滅。現在の戦力で地上戦は無理なのか? 敗戦後のリロードなどという姑息な手段を好まない管理人のもとに届いた命令は「再び地上強襲部隊を組織し、断固Xウィングを奪取すべし」。まるで気分はラバウル飛行隊である。Xウィングなんて要らないから、もっと内政に没頭してもよいですか、ルーカス様? とまあ、スター・ウォーズの世界に久しぶりにハマってしまった管理人なのだが、それにしてもこのEAWスター・ウォーズRTSゲームの中では最高傑作じゃないだろうか。なお、今回は地上戦のことばかり書いてしまったが、SWといえば欠かせない宇宙戦も非常に良く出来ているので、ソロプレイだけでなく、ネットで帝国軍と同盟軍に分かれて宇宙ステーション攻略を楽しむのもよいと思う。
(2006, ルーカス・アーツ)