引き継ぎの態度に表れる本性

orpheus2009-09-02

政権移行…米はチーム通じ情報共有

 米国の場合は、大統領選の投開票日は4年ごとの11月、就任は翌年の1月であるため、政権交代の際は約3か月の「移行期間」がある。
 このため、新大統領の陣営は政権移行チームを編成し、現政権と情報を共有する仕組みができている。
 昨年11月の大統領選勝利から今年1月のオバマ大統領就任の間に開かれた金融サミットを巡っては、新大統領が参加すべきだとの意見もあったが、結局はブッシュ大統領(当時)が出席。ただし、政権移行チームを通し、新政権のメンバーは情報を共有した。

政権交代を何度か経験するまでは、政権移行に伴う多少の混乱の発生はやむを得ない。とはいえ、その混乱が長引けば国益は確実に損われてしまう。今回の政権移行期間はわずか2週間しかないが、「責任政党(自称)の自民党」や「省益の死守に奔走する官僚」が新政権にどれぐらい協力的な態度をとるのか、それとも国益を損なう態度に出るのか、票を投じた有権者としても注意深く監視していきたい。
公開会社法は2―3年かけて制定、親子上場は禁止に

民主党の「次の内閣金融副大臣」を務める大久保参院議員は)公開会社法の制定や最低賃金の引き上げなどで日本企業の競争力の低下を招くとの懸念について「そういう批判があることは承知している。しかし、日本の経済を立て直すためには内需主導の経済にする必要がある。国内の分配率を増やし、購買力が高まれば、国内景気を押し上げる。輸出依存型からの転換を進めなければならない」と語った。(中略)

また、ゆうちょ銀行とかんぽ生命株式のIPOについて「株式の市場売却は一切考えていない」と明言した。(中略)

さらに日米関係に関連して「経済的にはドル本位制は間違いない事実だ」と指摘。「ユーロなどもあるが、実際の決済は多くがドルで、ドルを支えていくことは日本の国益になる」と語った。

日本経済は現象としてデフレ=民主政調副会長 / アジアの貿易と日本の産業空洞化
霞ヶ関維新

Silbermanなども指摘するように、日本のような行政中心の統治システムは、後発国の「追いつき型近代化」のために資源を総動員するには適しているが、経済が成熟して資源を最適配分することが重要になると、うまく機能しなくなる。効率を上げるにはシステムを分権化する必要があるが、官僚機構が権限を離さないからだ。こういうときは、まず行政に集中した権力を立法や司法に分離する必要がある。民主党のIT政策の目玉である「日本版FCC」も、むしろ総務省の裁量行政を司法に分離することを考えたほうがいい。

この点で、経営工学の博士号をもつ鳩山由紀夫氏が首相になるのはいい機会だ。彼の専門はOR(ネットワーク理論・ゲーム理論)だというから、最適配分の専門家である。大学でゲーム理論を講義できる首相が誕生するのは画期的なことで、システムを合理的に設計する技法については、オバマ大統領よりはるかにくわしいはずだ。数学の得意な鳩山氏には(最近発展した)メカニズムデザインを学んでいただき、政府が直接介入しないで人々のインセンティブを生かして効率的な結果を実現する制度設計を考えてほしいものだ。

政治の世界は修羅の道。まずは「官僚をねじ伏せる」閣僚人事で、政治家としての鳩山氏の力量が問われる。 → 主要閣僚人事、前倒しを検討 鳩山代表
「政権運営、企業参考に」 同友会代表幹事、民主に注文

経済同友会の桜井正光代表幹事は)新政権を担う民主党に対して「自民党にはできなかったマニフェスト政権公約)を軸にした政権運営をしてほしい」と注文をつけた。企業経営に活用する「PDCA(計画・実行・検証・改善)サイクル」を参考に、国民にわかりやすい政権運営を心がけるよう求めた。

 代表幹事は「マニフェストによる政権運営を企業に例えると、事業計画に基づく経営と同じになる」と指摘。「公約は守るべきだが、新たな課題が発生すればそれを修正し、国民に伝えた方が透明度が高まる」と述べ、事業計画を柔軟に見直す企業を参考にすべきだとの認識を示した。

期間を区切って政策実行の進捗状況を把握・評価するプロセスは必須だが、政党が有権者と約束した政策を「選挙という同意/選択の手続き」を踏まずにコロコロ変えるのはNG。内閣が実現のために努力したにも関わらず、効果が不十分であったり、現実との大きなギャップが生じて方向転換が必要な政策については次のマニフェストで修正を加え、有権者に選択肢として提示すべきだろう。もちろん柔軟な対応やスピードが求められる案件についてはこの限りではない。