アカデミー賞直前予想

さて、これで今年の第76回アカデミー賞の作品賞候補に挙がっている5本のうち4本を見ることができたので、明日決定される第76回アカデミー賞全24部門のうち、主要7部門について予想してみようと思う。
▽最優秀作品賞
The Lord of the Rings: The Return of the King (Newline) ○
Lost In Translation (Focus Features)
Master and Commander: The Far Side of the World (Miramax) △
Mystic River (Warner Bros.)
Seabiscuit (Universal) ○
製作規模や興行的な面では「ロード・オブ・ザ・リング王の帰還」が有力だが、アカデミー賞ではファンタジーよりも歴史もの、特撮ものよりも人間ドラマが好まれる傾向がある。従って、大恐慌期のアメリカ国民に大きな希望を与えた伝説の名馬の物語をアメリカの歴史と合わせて描いた「シービスケット」や、不利な状況を覆して勝利を得たイギリス海軍の英雄ジャック・オーブリーを素材に選んだ「マスター・アンド・コマンダー」の受賞も大いに考えられる。
▽監督賞
Fernando Meirelles - City of God
Peter Jackson - The Lord of the Rings: The Return of the King ◎
Sofia Coppola - Lost in Translation △
Peter Weir - Master and Commander: The Far Side of the World ○
Clint Eastwood - Mystic River
指輪物語」を映像化した功績、興行成績等を考えるとピーター・ジャクソン監督が最有力(すでにゴールデン・グローブ賞と全米監督協会賞も受賞している)。だが、アカデミー賞では大番狂わせもよくあるため、次点としてピーター・ウィアー監督、大穴としてソフィア・コッポラ監督の名を挙げておく。なお、クリント・イーストウッド監督は「許されざるもの」で受賞経験があるので、今回の受賞はないと思われる。
▽主演男優賞
Johnny Depp - Pirates of the Carribbean: The Curse of the Black Pearl (Disney)
Ben Kingsley - House of Sand and Fog (Dreamworks) △
Jude Law in - Cold Mountain (Miramax) △
Bill Murray - Lost in Translation (Focus Features)
Sean Penn - Mystic River (Warner Bros.) ◎
本作でのジョニー・デップのノミネートはやや意外だった感があるが、その他は概ね妥当な候補。「ミスティック・リバー」で復讐に燃える父親を熱演したショーン・ペンが最有力で、ジュード・ロウと大御所ベン・キングスレーが後を追う。
助演男優賞
Alec Baldwin - The Cooler (Lions Gate)
Benicio Del Toro - 21 Grams (Focus Features)
Djimon Hounsou - In America (Fox Searchlight) △
Tim Robbins - Mystic River (Warner Bros.) ○
Ken Watanabe - The Last Samurai (Warner Bros.) △
横並びで最有力候補が見当たらないが、ややティム・ロビンスがリードしている様子。渡辺謙氏に受賞して欲しいのはもちろんだが、ベテラン勢も名を連ねており、予想は困難。ベニチオ・デル・トロは「トラフィック」ですでに受賞経験があるため、今回は他の候補が受賞する可能性が高い。
▽主演女優賞
Keisha Castle-Hughes - Whale Rider (Newmarket Films)
Diane Keaton - Something's Gotta Give (Columbia)
Samantha Morton - In America (Fox Searchlight)
Charlize Theron - Monster (Miramax) ◎
Naomi Watts - 21 Grams (Focus Features)
悲劇を好むアカデミー賞がいかにも飛びつきそうなテーマを掲げた「モンスター」のシャーリーズ・セロンが最有力。全米批評家協会賞とゴールデン・グローブ賞も受賞している。
助演女優賞
Shohreh Aghdashloo - House of Sand and Fog (DreamWorks) △
Patricia Clarkson - Pieces of April (United Artists)
Marcia Gay Harden - Mystic River (Warner Bros.)
Holly Hunter - Thirteen (Fox Searchlight) ○
Renee Zellweger - Cold Mountain (Miramax)  ◎
母親役を熱演したベテランのホリー・ハンターも評価が高いが、昨年の「シカゴ」で惜しくも受賞を逃したレニー・ゼルウィガーが巨匠ミンゲラの作品で念願のオスカーを獲得しそう。
外国語映画賞
The Barbarian Invasions (Canada) ◎
Evil (Sweden)
The Twilight Samurai (Japan) △
Twin Sisters (The Netherlands)
Zelary (Czech Republic)
山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」ほか、多彩な作品が並ぶ。
なかでも、各国の映画祭で評価が高いカナダの「みなさん、さようなら」(邦題)が最有力。
その他の部門では、アニメーション賞は「ファインディング・ニモ」、視覚効果賞は「ロード・オブ・ザ・リング王の帰還」、音響賞は「ロード・オブ・ザ・リング王の帰還」、音響効果賞は「マスター・アンド・コマンダー」、作曲賞は「王の帰還」(ハワード・ショア)がそれぞれ有力だと思う。
第76回アカデミー賞の授賞式は明日。映画や俳優が好きな人は、どの作品や誰がオスカーを獲得するか、予想してみてはいかがだろうか。