裸足の1500マイル

orpheus2004-07-05

★★☆☆☆
いわゆる「隔離・同化政策」の実態を世界に知らせる社会派映画なのだが、世界名作劇場で育った人にとってはオーストラリア版「母を訪ねて3000里」*1的な作品に見えるかもしれない。ストーリーはシンプルで、差別されていた先住民の子供たちが犬や猫のように帰巣本能を活用して我が家へと戻っていくというもの。現代人が失ってしまったプリミティブな能力への憧憬を交えつつ、先住民のアボリジニたちが白人からいかに非人間的に扱われていたかを執拗に描いている。音楽は久しぶりに映画音楽に関わるピーター・ガブリエル
なお、映画で登場する「ウサギ対策のフェンス」は、かつて白人が持ち込んだウサギやキツネがオーストラリアの生態系を破壊してしまった際に、その対策として何千kmにも渡って張り巡らされたものである。
(2002,オーストラリア)

*1:ちなみに「母を訪ねて三千里」ではイタリアからアルゼンチンまでの3000里=約11782Kmを船や馬車で移動。本作では1500マイル=約2414〓を徒歩で辿った計算になる。