「止まったら落ちる」犬飼改革

スポーツ新聞は普段読まない方だけど、あのレッズが優勝した今回はそうもいきません。かつて「Jリーグのお荷物」とまで言われた浦和レッズを立て直し、悲願の初優勝へと導いた犬飼基昭社長の話がとても興味深かったです。(日曜のスポニチより一部転載)

昨年11月、ナビスコ杯優勝会見でオフト監督が辞任を表明したが、実際は解任だった。年間6位と結果を出した監督をなぜ解任するのか。ファンの不満は爆発した。

「オフトのすべてを否定したわけではない。ギド(ブッフバルト現監督)が目指す楽しいサッカー、選手が喜々としてやれるサッカーに共感し、もっと上にいくには彼だと思った。ところが日本人はオール・オア・ナッシング。変革しにくい民族だと感じた」

逆風を受けながらも、ブッフバルトのサッカー哲学を信じて招聘。選手の良さを生かす戦術で快進撃を続け、今では文句を言うサポーターはいない。2万人が満足するサッカーから、6万人が喜ぶサッカーへの変貌は社長の元選手としての目*1が生きた例だ。

選手時代の経験と海外で培った合理精神が見事な花を……って、社長は花咲じいさんかい!

(犬飼社長の)哲学は「改革と改善の違い」にある。「4割の人が賛成するのは改善。日本人ならこれはデイリーワークでできる。改革とは3割の人が賛成することを敢然と行うこと」

どこぞの首相にも聞かせたい話ですね。特に「敢然と行う」ってとこ。

「クラブ経営は下りエスカレーターを上るようなもの。止まっていたら落ちる」。

日本のスポーツ界って、そういう意識が本当に欠けているよね。サッカーじゃないけれど、楽天の参入が硬直しているプロ野球界にとっていい刺激になるといいなあ。

*1:犬飼社長は元日本ユース代表。レッズの前身にあたる三菱重工では選手として活躍した(伝説となっている三菱重工のゴール第1号も犬飼氏が決めている)。選手を退いてからは三菱自動車に転籍、20年に渡って海外で勤務。99年に帰国し、浦和の社長に就任した。