砂上の楼閣/野党の努め

新年度東証、大幅な続伸 ITバブルに迫る
イラクやイランの情勢がこれ以上悪化しないという前提での話だが、小泉の退陣までは米国マネー環流による株価の釣り上げが続くことが予想される。バブルとは「実体の伴わない経済の過熱状態のこと」に他ならないが、今の相場や株価だけを見て好景気などとぬかしている連中にせよ、そうした“粉飾情報”を鵜呑みにする消費者の側にせよ、騙し騙されるのがつくづく好きなようである。だが、彼方の気分がちょっと変わるだけでこんな見せかけの株価は一瞬で吹き飛ぶ。改革なくして成長なし、と語った小泉はブッシュに振り回されっぱなしの日米関係に何の改革もできず、さりとて靖国問題アジア外交も冷え切らせたまま、この国を漂流させ続けている。例のメール問題も、大局的に見れば小泉政権延命策の一環なのかもしれない。あれだけ騒いでおきながら与党側が証人喚問を求めないというのも何だか怪しい。
一方、民主党は政府を追及する絶好の機会を今回の騒ぎで棚上げしてしまった責任がある。失った信頼を取り戻すのは容易ではないが、ベテランの党首を選出して陣容を固め、小泉政権がもたらした“4点セット”などの問題を実直に追求していくことが、国政と有権者に対する何よりの罪滅ぼしとなるだろう。言うまでもなく、与党と政府の失政を厳しくチェックし、救いようがなければ与党に取って替わるのが議院内閣制における野党の努めである。政権交代を目指す前に、民主党は国会で法案や政策を追求する責任を果たさねばならない。国会で失った信頼は、国会で取り戻すしかないのだ。多くの有権者が必要だと感じれば、一方に傾き過ぎた議席数は次の選挙で元に戻る。