格差拡大は人災
「格差拡大に悪影響を与えかねない」。元財務省幹部がそう認める減税がある。03年から5年間、これまでの半分以下の一律10%の税率に下げられた株式譲渡益と配当所得への課税だ。働いて稼いだ所得と合算する総合課税ではない分離課税。株で1万円もうけても、100億円もうけても税率は同じ10%だ。(略) (離課税支持の答申を出した政府税調の石会長は)「高所得者にきちんと課税できなかったのは反省点。税率をできれば20〜25%に上げていきたい」と言う。(略) 総合課税を主張してきた東大教授の神野直彦委員は「強い者をより強く、負けた者はそのままにする方が社会が活性化するというのが政府の考え方だ」と語り、警告する。「その結果格差は拡大し、社会病理となって噴出している」