日米はすでに恐慌に突入している

orpheus2008-10-25

PERは53倍と11倍、バブル後安値時からは異常な割安

日経平均株価は24日、7649円08銭(前日比811円90銭安)まで下落し、2003年4月28日につけたバブル後安値の7607円88銭まであと42円に迫った。03年4月の投資環境と比べると、今回がいかに異常な水準に置かれているかがうかがえる。たとえば東証1部全体の株価純資産倍率(PBR)は0.9倍で解散価値を完全に割り込んでいる。世界トップの自動車メーカー、トヨタ自動車すら0.9倍台で、今すぐ事業を停止して、会社を清算したほうが得という状況になっている。予想PER(株価収益率)もしかりで、現在は11倍という歴史的な低水準にある。

24日も全面安の展開で、東証1部銘柄の91%が下落。アメリカの出血も止まらない。VIX(恐怖指数)が90に迫るという状況は、危険水域どころか恐慌に突入しているに等しい。中国の恩恵を受けてきた連中は口を閉ざしているが、先月から世界の株価が暴落を続けている要因のひとつに、サブプライム問題の裏で中国が(世界で2番目に保有量の多い、約4000億米ドルもの)米国債を投げ売りしている状況がある*1。そして現在の「円高包囲網」は、中国とEUが、住宅バブルの崩壊で海外資本が流出したアメリカとそのカバン持ちの日本を“心中”させる策に出たことを示唆している(日経平均がバブル後最安値に近い局面で、円に積極的に投資するメリットなどない。現在の円高は明らかに誘導されていると言ってよい)。この“演出された”急激な円高で、ようやく脱した“失われた10年”の低迷期に引き戻された日本企業は再び窒息寸前に陥っている。例えば、ソニーは1円高くなるたびに40億円(ユーロなら75億円)の営業利益が一瞬にして失われるというかつてない危機に直面。また「株安・円高・消費低迷」の三連コンボで、国内の大手銀行は顔面蒼白である。アメリカでは銀行の代わりに国が融資を始めたが、日本の財政状況では金融機関の救済や国有化をする体力などない。首相が一時しのぎに10兆円程度の救済策など打ち出したとしても、焼け石に水かもしれない。ブラックジョークではないが、円高に狂喜したあなたが呑気に海外旅行に出かけている間に、あなたの銀行が消失していたなどという事態も今後は十分にありえるのだ。
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*1:日本は同盟関係の身代金として米国債の1/3をアメリカから買わされており、中国のように売る訳にはいかない。アメリカと“心中”するしかない仕組みだ。