Déjà vu……倒産にご用心!

下に列記したデータは、帝国データバンクの公開している全国企業倒産集計「負債額1,000万円以上の倒産件数と負債総額」からの抜粋である。米国サブプライムローン問題の影響で日本企業の倒産が相次ぎ、急増した先月の負債総額(5兆3197億円……2000年10月の8兆5611億円に次いで戦後2番目の規模)がいかに巨額であるか一目瞭然だ*1。この状況を受け、国会で持ち上がっている「金融機関への公的資金の注入」の議論は、ちょうど10年前の危機的状況を思い出させる。あの時はマスコミのミスリードもあり、世論の反発を恐れて公的資金の注入が大幅に遅れ、ようやく1998年になって大手21行に計1兆8000億円の公的資金が注入された。今回はその5.5倍に匹敵する10兆円規模の注入の可能性が取り沙汰されているが、先日のエントリ「日米はすでに恐慌に突入している」でも述べたように、「10兆円程度の救済策を打ち出しても焼け石に水」で終わる可能性が高い。今回の金融危機で始まったリセッションが長期化し、仮に上場企業の抱えている借入金の4割が不良債権化した場合、日本の銀行が引き受けることになる不良債権の総額は170兆円以上に及ぶという恐るべき試算もある。そうでなくても国の借金の肥大化、団塊世代の引退と少子化進行に伴う労働力の衰退、中国の台頭による日本企業のスタンダード及びローエンド分野での競争力低下という厳しい現実に直面している。もはや長期的な成長やV字回復など見込めない冬の時代の到来なのだ。まだ「日本の企業は強い」などとポジショントークを打ち、株を底値で漁っているような懲りない連中には、イーストウッドよろしく「自分の首をくくる縄を用意しておけ」とだけ伝えたいと思う。

日本企業の倒産件数と負債総額(帝国データバンク調べ ※2005年6月から法的整理のみを対象とする)

▼月別
2008. 9  1122件 5兆3197億9400万円 ←戦後2番目の負債額
2008. 8  1018件   8148億5800万円 
2008. 7  1131件   6402億3200万円 
2008. 6  1065件   4719億2000万円 
2008. 5   994件   4810億7300万円 
2008. 4  1013件   7254億4100万円 
2008. 3  1127件   4559億3400万円 
2008. 2   935件   4960億3300万円 
2008. 1   888件   3890億6300万円

2007.12   891件   4125億5400万円 
2007.11   906件   4576億 400万円 
2007.10  1083件   4416億6900万円 
2007. 9   785件   4659億2800万円 
2007. 8   985件   8351億2200万円 
2007. 7   915件   3062億9700万円 
2007. 6   985件   3364億2700万円 
2007. 5  1016件   3443億8700万円 
2007. 4   817件   5912億6800万円 
2007. 3   916件   4730億7600万円 
2007. 2   818件   2805億9700万円 
2007. 1   842件   5467億9900万円

2006.12   896件   4630億 900万円 
2006.11   754件   3823億4800万円 
2006.10   889件   5660億2900万円 
2006. 9   667件   3399億2000万円 
2006. 8   774件   3609億3000万円 
2006. 7   746件   3548億4000万円 
2006. 6   744件   3832億 700万円 
2006. 5   731件   6838億9800万円 
2006. 4   795件   4218億6200万円 
2006. 3   848件   4739億5900万円 
2006. 2   777件   3252億8300万円 
2006. 1   730件   5165億1200万円 

2005.12   758件   3544億3100万円 
2005.11   708件   7603億5900万円 
2005.10   825件   6605億7600万円 
2005. 9   671件   5508億3800万円 
2005. 8   754件   3280億5300万円 
2005. 7   675件   4174億2400万円 
2005. 6   794件   4394億8200万円 
2005. 5   614件   5844億2600万円 
2005. 4   948件   3882億7000万円 
2005. 3  1100件   5605億6800万円 
2005. 2  1056件   8082億9000万円 
2005. 1  1039件   5984億6900万円 

※以下は負債額が1兆円を超えた月のみ

2004. 3  1343件 1兆3084億6200万円
2004. 2  1208件 1兆 898億3700万円 
 
2003.11  1136件 1兆  88億5900万円 
2003. 9  1238件 1兆1292億5500万円 
2003. 8  1321件 1兆1733億8200万円 
2003. 3  1568件 1兆1820億7300万円 
2003. 2  1586件 1兆5329億8700万円 
2003. 1  1436件 1兆2189億9000万円 

2002.10  1706件 1兆9269億6600万円 
2002. 8  1562件 1兆 592億2000万円 
2002. 7  1814件 1兆2035億1700万円 
2002. 5  1696件 1兆 846億2300万円 
2002. 4  1641件 1兆2765億2800万円 
2002. 3  1788件 2兆 410億7900万円 
2002. 2  1712件 1兆2713億7000万円 
2002. 1  1620件 1兆 672億8600万円 

2001.12  1505件 1兆5640億7300万円 
2001.11  1851件 1兆8820億6300万円 
2001.10  1911件 1兆 710億1400万円 
2001. 9  1568件 3兆  13億 300万円 
2001. 5  1724件 1兆 214億9400万円 
2001. 4  1631件 1兆 480億2100万円 
2001. 3  1703件 2兆3668億4500万円 
2001. 2  1448件 1兆1153億3300万円 

2000.11  1683件 1兆2226億1400万円 
2000.10  1711件 8兆5611億1400万円 ←戦後最悪の負債額
2000. 8  1704件 1兆3783億6500万円 
2000. 7  1617件 4兆2643億2100万円 ←初の4兆円突破
2000. 6  1560件 1兆8745億9400万円 
2000. 5  1528件 1兆6763億5300万円 
2000. 2  1443件 1兆2073億   円 

1999. 7  1332件 1兆3549億2100万円 
1999. 6  1287件 1兆8407億7600万円 
1999. 5  1360件 1兆6141億4400万円 
1999. 3  1269件 3兆1835億2200万円 

1998.12  1169件 1兆1073億 300万円 
1998. 9  1518件 3兆 391億1200万円 ←初の3兆円突破
1998. 8  1534件 1兆  62億9500万円
1998. 6  1741件 1兆3632億1600万円 

▼年度別(4月〜翌3月 2008年度は9月分まで)
2008年   6343件 8兆4533億1800万円 ←既に8兆円突破
2007年 1万1333件  5兆5322億8600万円 
2006年   9572件 5兆2565億1500万円 
2005年   8759件  5兆7494億4100万円 
2004年 1万3276件  7兆 428億6800万円 
2003年 1万5790件 10兆6878億3900万円 
2002年 1万8928件 13兆3099億9300万円 
2001年 2万  52件 16兆1408億9600万円 ←戦後2番目の負債
2000年 1万8926件 25兆9812億 600万円 ←負債、戦後最悪
1999年 1万6887件 11兆2610億9900万円 
1998年 1万7497件 15兆1820億2300万円 
1997年 1万7439件 15兆1203億1400万円 
1996年 1万4859件  9兆1898億2400万円

全国企業倒産状況(東京商工リサーチ)
金融危機で米欧の評価損260兆円
米地銀、16行が公的資金申請を表明 注入総額346億ドル(約3兆円)超す
稼ぎ頭どころか足を引っ張る 赤字転落トヨタの北米事業

*1:毎年、この3倍近い約15兆円が天下り先の補助金として税金から使われている。金融機関に注入する公的資金の財源は、不要な官僚や公務員をはじめ、天下り先となっている特殊法人独立行政法人をつぶすか事業縮小して捻出すべきだと思う(もちろん、文化的を保護する団体やライフラインに関わる組織は維持する必要があるとは思うが)。