教育不足

加速するニュース報道、道徳観念の形成に影響か 米研究(CNN)

(米南カリフォルニア大の社会学者らの調査によると)脳は他人の身体的苦痛には素早い反応を示す一方、相手への称賛を示すまでには時間がかかることが分かったという。(中略)
研究チームでは「情報のスピードが速すぎると、脳はそれを消化しきれず、他人の気持ちなどに対する感想が希薄になってしまうようだ。若者らの道徳的判断力は、ニュースなどを含めた社会経験の積み重ねで形成される。テレビやネットの速報に頼り過ぎていると、きちんとした道徳観念が育たず、何を見ても無関心な状態に陥る恐れがある」と主張する。 
チーム責任者のアントニオ・ダマジオ氏は「特に時間がかかるのは相手を認め、称賛する反応だが、これは人間性の決め手となる深い感情。われわれが善悪を判断するうえで、実は重要な要素となるのが称賛の感情だ」と指摘。若者らの判断力低下を防ぐために、ニュース報道のスピードを抑える必要があると結論付けている。 

ネット掲示板脊髄反射的な書き込みが多かったり、ブログが炎上しやすいといった問題と関連性の高そうな調査結果。他人を褒めるということは、相対的にいえば自分の頭を下げるということであり、謙譲を重んじるコンセンサスが著しく低下してしまった今日の日本社会において、この発火しやすい状況を変えることは非常に難しい。また、ネット世界で匿名性の名の元に孕まれている多種多様な攻撃性の中には、商業主義に絡めとられた“表世界”を牛耳っているマスコミの偽善性を在野から否定するというカウンター的な機能や言論の自由の問題も含まれている訳で、こうしたものを「ネットから発せられたから」という理由で十把一絡げに否定するのもどうかと思う。そもそもネットでニュース速報を自粛したところで道徳的な観念が育つ訳でもなし。ネット云々言う前に、まずは“表世界”でのモラル教育の建て直しが必要ではなかろうか。