シカゴ

orpheus2003-12-27

★★★★☆
今、アメリカでは南北戦争がブームだという。その代表作でもある「コールド・マウントテン」では、ハリウッドで今最も脚光をあびている女優のニコール・キッドマンレニー・ゼルウィガーがタフな南部の女性を熱演して話題になった。そのゼルウィガーを一躍有名にしたのが、ミュージカル映画の「シカゴ」である。
舞台は1920年代のシカゴ。スモーキーなJAZZサウンドが、ギラつく風俗街の質感をうまく醸し出す。主役を演じるゼルウィガーは普段はもの静かな人らしいが、スクリーン上では豹変する。ぱっと見では無邪気で野暮ったい印象があるのに、その欠点がいつの間にか愛らしく思えてしまうモンロー的な魅力があり、本作のように酒場でスポットライトを浴びる艶やかな役どころにはまさにうってつけの人選。この作品で彼女がアカデミー主演女優賞にノミネートされたのは頷ける。特に、ギアとの腹話術シーンでみせる戯けた表情は一級品だ。
本作と比較され、よく引き合いに出される映画は「ムーラン・ルージュ」だろう。「ムーラン・ルージュ」が“これぞ、ミュージカル!”というミュージカル讃歌の路線だとすれば、「シカゴ」は“これぞ、アメリカ!”というアメリカ社会讃歌の作品になっている。R指定の「ラリー・フリント」もそうだが、ゴシップ好きで、富と名誉を世界で最も愛する国、それこそがアメリカであり、本作で描かれたシカゴという街なのだ。
(2002,アメリカ)