中国人への手紙

重慶市民の反日ブーイングの様子を拝見しました。あなたがたの態度はひどいものです。「俺達は日本の観客に紙コップをぶつけただけだが、日本人は昔重慶に爆弾を落としたじゃないか」。それは事実です。でもそれはかつての国家間戦争の中で行われた行為であり、今回重慶で開催された大会に参加している日本の選手やサポーターは、あなたがたの国に戦争をしに行った訳ではありません。
私たちは自国の犯した侵略の歴史を学びますが、同時にあなた方の「中華思想」のこともまた知っています。2008年の北京オリンピックに差し支えがでるから一時的に反日運動を控えろ、というのはご都合主義的な話ではありませんか。中国当局は、自分たちが進めてきた反日教育の結果が今回の騒動の発端になっていることを自覚するべきです。
今回のような騒動は何度も繰り返されてきました。中国は苦渋を味わった。その悲劇に日本が関わっていたことは事実です。しかしそれは国家間戦争の名のもとに行われたものでした。日本政府も公式に謝罪を表明しています。日本は敗北し、その償いを受けたのです。それをいつまでも繰り返すあなた達の言い回しは中国共産党反日キャンペーンそのものです。
時代は変りました。いまや多くの中国企業が日本から化学製品の材料や鉄鋼などを輸入し、それを元に製品を作り、世界を相手に輸出しています。アメリカと並び、中国製品を大量に買っているのも日本です。あなた達の国が日本なしでは産業が成り立たない程、中国は日本に(そして日本も中国に)依存している、ということもまた事実なのです。
テロの恐怖に晒されながらも、対立から協調へと国際社会が模索を続けている今、中国が「遅れてやってきた帝国主義国」のレッテルを張られることがないよう、私は願っています。