夏の風景

2時間ほど泳いで、今日はあがる。帰り道にちょっとした林があるのだが、最近の私にとって、賑やかな蝉の合唱を聞きながら、その涼しい木陰の脇を通る小さな道を颯爽と自転車で駆け抜けるのが「至福の時」になっている。日本の夏を満喫している充足感、林の中に一体化するような感覚が、一日の疲れを忘れさせてくれるのだ。かつて芭蕉翁が「閑さや岩にしみ入蝉の声」と吟じたその感覚が、今はよく分かる気がする。
最近、若さとはつくづく恐ろしいものだと考えるようになった。20代の頃は、明日のことなんて何も考えていなかったのだろう。未来はいつまでも続くと信じ、作られた希望の中で生きていた。今はずいぶん無駄な力が抜けて、自然体でいられるようになったと思う。