参院・郵政法案否決、衆院解散へ

orpheus2005-08-08

日本の経済はここ数年回復基調にあるが、それは年9%台の成長を続ける中国の好景気に牽引された結果であり、国内企業の多くはバブルの崩壊以降、競争力を回復できずにいる状態が続いている。また、これまで多くの労働力を提供してきた団塊の世代が定年を迎えて税収が低下していくなか、少子・高齢化社会の到来で増える財政負担をどう捻出していくか、肥大化する国の借金をどう減らしていくか、といった最も重要な問題は小泉・自公連立政権のもとで改善されるどころか、悪化してしまった。国民は小泉の唱える「構造改革」という出来もしない虚言に何年も振り回され、彼が「ぶち壊す」はずだった自民党政治は依然として「延命」し続けている。これが政治的空白でないとしたら、一体何なのか。
そもそも、冷戦の崩壊後に下野した自民が息を吹き返して与党の座に居直っていることが、この国の「旧体制」を持続させ、改革を頓挫させている原因である以上、その「旧体制」を抱える自民党を代表する小泉がいかに気勢を上げ、ドライな猪瀬直樹を起用して道路公団を改革しようとしても、せいぜい汚職のあった公団トップの首をすげ替えることしかできないのである。「改革をしている気分」しかないのだ。もし小泉なきあとに旧橋本派復権すれば、何事もなかったように族議員と国家官僚、財界との癒着による「旧体制」が息を吹き返すことだろう。
ここで、僕は10年前のあの苦い記憶を思い出す。1994年6月30日、労働者や低所得者層の立場を代弁すべき社会党が、あろうことか総理大臣のポストにつられ、多くの支持者を裏切って自民と連立したあの日のことを。平和憲法を護り、自衛隊に反対してきた社会党の人間(村山富市)が首相に、つまり自衛隊の総司令官になって平気な顔をしていたあの日こそ、戦後日本における政党政治が死んだ、恥ずべき瞬間であった。思考停止はあの日から始まったのだ。日本政治の停滞は、冷戦崩壊後に世界がグローバル経済にシフトしていった中で、時代に適合した政策を打ち出す政権交代を定着できなかったことによる。
そして今日、参院本会議で郵政民営化関連法案が賛成108票、反対125票で否決され、異端児の小泉総理は衆院を解散した。これは90年代に中断し、凍結されていた「自民党政治=旧体制」の解体が再び始まることを意味している。この国の未来に希望を取り戻すために、来月の衆院選で、僕ら有権者自民党政治に終止符を打たねばならない。Good-bye, 自民党