商業主義がカーリングを殺す日

カーリング:視聴率は“銀”

トリノ五輪で強豪カナダを破るなど大活躍したカーリング女子日本代表が、各界から注目を浴びている。真剣なまなざしが画面アップで映し出され、30〜40代の選手が主流の海外の強豪に、若く初々しい道産子たちが懸命に挑む姿はお茶の間にさわやかな風を送った。愛らしい表情の本橋麻里をNHKのアナウンサーは「マリリン」と呼び、先輩格の小野寺歩林弓枝の両選手らをモデルにした映画「シムソンズ」も封切られた。選手のテレビ出演としてはフジテレビなどが検討を開始している。広告代理店関係者は「あのけなげさにお茶の間は心を打たれた」。「勝ち組、負け組」のせちがらい世の中で、彼女たちはお茶の間のヒロインになった。

マイナースポーツに敬意を払わず、普段メダルに縁のない競技は取りあげようともしない。大衆受けしそうな選手を見つけると、視聴率が稼げる間だけ都合よく持ち上げる。そんなマスコミにどれだけ多くのアマ/セミプロ選手が辛い思いをさせられてきたことだろう。今回のカーリングもそうだ。地域社会が時間をかけて育ててきた“カーリングの絆”など、マスコミの連中にとっては所詮どうでもよいお題目にすぎない。選手たちの帰国後、商業主義で腐りきったこの国のメディアが選手たちをどう扱うか、チーム青森に感動した“にわかファン”の方は、ぜひ注意して見てほしい。
元長野五輪競技委員長・小林さん、自費でカーリング場