カーリング日本選手権(最終日)

orpheus2006-03-12

11日、予選ラウンドで6勝2敗としたチーム青森タイブレークチーム長野を破り、予選リーグを1位突破。準決勝でチーム常呂中と再度対戦するが、今度は正確なショットで“後輩”のミスを誘い、9-2で決勝戦に進む。最終日の12日、常呂中がチーム長野に5-6で敗れ、3位確定。決勝は2年前の覇者・チーム青森(この時は小野寺・林・目黒・寺田というメンバー構成)と昨年の覇者・チーム長野(昨年の春まではチーム土屋という名称だった)との対決。試合は競り合いになったが、第9エンドでチーム青森が3点を奪って点差を広げると、最終エンドでチーム長野がギブアップ。9-3*1チーム青森が日本一の座を奪還した。五輪の疲れも癒えぬままに挑んだ大会だったが、日程後半になるにつれて調子をあげる“スロー・スターター”の小野寺組らしい展開で、貫禄の優勝だった(チーム長野も惜しかった)。気になる今後の動向だが、大会前に小野寺と林は東奥日報の取材でこうコメントしている。

「この4年間、トリノのために全エネルギーを費やしてきた。すべてを出し切った。これから五輪のためにやれるかどうか。じっくり考えたい」(小野寺)
「日本選手権の結果などから判断して、現役を続けるか、指導者になるのか、決めたい」(林)

日本選手権で優勝したことで、チーム青森は今年の11月に開かれるパシフィック選手権(昨年はチーム長野が出場して優勝)の日本代表に内定。そのチーム青森の活躍でカーリング・ブームに火がついたとはいえ、現状は競技そのものよりも選手に対する関心の方が強いのも事実*2。マスコミとカーリング協会、青森市の思惑が交差するなか、“カーリング娘”の看板を背負わされた“オノデリング&ユミエ”の勇姿を今後も見たいというファンの声に両選手がどう応えていくのか。確かに、フィジカルのきつい他の競技*3と異なり、ベテランの経験が試合を左右するカーリングの世界に“世代交代”という発想は馴染まない*4。2勝7敗で終わったソルトレーク五輪、4勝5敗のトリノ五輪。特にトリノでは後半戦でエンジンがかかった(チーム青森の弱点はスロー・スターターであるということ。追い込まれて本領を発揮するケースが多い)ものの、まだまだという印象があった。2つのオリンピックで成長した小野寺と林の両選手が世界の強豪と切磋琢磨する場面を今後も見たい*5、むしろこれからが勝負だと考えるファンが多いのも十分頷ける。第二の故郷*6でまたひとつ夢をかなえた小野寺と林。青森のスポーツ振興公社で生徒に教えるのも結構だが、一休みしたら、五輪出場選手として彼女たちにしかできないプレーをまた見せてほしい(ライバルのチーム長野は今週末から世界選手権に出場する。こちらにも注目)。
カーリング特集(地元の東奥日報
カーリング実況画像掲示板(TV中継のなかった日本選手権を4人の2ch有志がネットで実況)
チーム長野の公式ホームページ(選手の手づくり。リードの亀ちゃんはピアノも上手いらしい)
今月18日から始まる世界選手権の公式サイト(日本からはチーム長野が出場)
「なぜ“マリリン”と呼んだの?」カーリング実況・刈屋富士雄アナウンサーに聞く
森アナ「カーリング女子・準決勝の実況を終えて」
トリノ五輪チャリティオークション:カーリング女子

*1:8-3という意見もあったが、公式記録は9-3。

*2:実際にカーリングをしてみたいと思っても、専用のリンクは全国に9ヶ所しかない。TVで知っている選手(チーム青森)のプレーを見て楽しんでいる人がほとんど。

*3:もちろん、フィジカルのきつい競技でも「女子選手はピークを過ぎたら結婚して引退せよ」などというこの国の“悪しき習慣”と戦っている選手はたくさんいる。たとえばマラソンの弘山晴美

*4:出産で“一時引退”する場合などは除く。

*5:もちろん、麻里りん(本人のサインの表記)や目黒、寺井にも期待。

*6:詳しくはこちらの記事を参照。