なぁみな手をつなげ（Def Tech）
★★★★☆
北海道出身らしく、カヌーが趣味だというチーム青森の目黒。彼女のお気に入りのユニット、Def Techの“My Way”を聴いてみることにした。インディーズ扱いということでTSUTAYAにレンタルはない。近所のレコードショップを覗くと、最新のアルバムと一緒に目当ての1stアルバムが置いてあった。苦いコーヒーを胃に流し込みつつ、iTunesでニゴロ*1って、早速チェック。のっけから太陽の眩しい太平洋のどこかの島へと気持ちは飛ばされていく。Def Techは東京出身のマイクロとハワイ出身のシェンによるユニット。日本語と英語の掛け合いが実に自然で気持ちいい。ヒップホップ系は聴かないのでよく分からないが、彼らのジャワイアン・レゲエ（日本＋ハワイ＋ジャマイカをミックスしたスタイル）はオンリーワンのサウンドだと感じた。歌詞もいい。“My Way”ならこんな感じだ。
地に足付け 頭雲抜け 進む前に前に前に 手をつなげば怖くないから そこまでお前は弱くないから でもいつまでも そばにいないから Believe my way my way my way 僕らを必要とする誰かがいる どこにいる 探すことで変わる やっと少し分かったフリ 腹から声出したセリフが 行き交い 混じり合い 語り合い 諦めんな 笑わせるな 慰めてんな そばで励ましてやんな どんなにふけ年老いても これだけは忘れないでいてよ まずマジ“恥”“劣等感”“嫌悪感”人に対する嫉妬心 ハズすバシバシ 話し吐き出し 泣き出しそれで確かに 今日はめでたし でも明日から また新しい日が始まる
“Consolidation Song”もクセになる。心身ともにリラックスしていないと、こういう曲は書けないものだ。
ホントの幸せ掴んでほしい 内側からあふれ出るエナジー 言葉だけじゃなく 感じてほしい 無駄なことなんてない 全てのことには意味がある 今キャパを広げて欲しいんだ 知ることで世界は広がる なぁみな 今手をつなげ let me see unity with your hands in the air ここから輪を広げてけ no fear, be brave, have confidence 無駄な事なんて無い every little thing in life has meaning, right It doesn’t matter where you come from, let’s go as one, Consolidation Song
チームワークとトランスナショナルな意識。こういった曲を聴いて、カーリング娘はトリノで戦っていたわけだ。納得というか、共感。市場主義に牽引されるグローバリズムなんて嘘っぱちで、異なる文化と風土のもとで育ってきたそれぞれの人々が、世界の舞台で自分らしさを発揮し合う時代。日本人と中国生まれのアメリカ人（ハワイアン）で構成される、このDef Techというユニットのあり方もそう。無国籍ではなく、それぞれの“らしさ”を持ち合って融合する。レゲエをベースにしつつ、ハワイを感じさせるリフと、やや無機質な感じの日本的な打ち込みサウンドが適度にミックスしたカラフルなサウンドの上に、日本語と英語が交叉するから気持ちいいのだ。まず自分の国や自分たちの慣習を理解することが、世界を理解することにつながる。無駄な事なんてない。
このアルバムで一番気に入ったのは“Emergency”。昔のロックに通じる攻撃的な歌詞と今の脱力系ライトサウンドが両立する、この感覚。
2000年越えて4, 5, 6年経った今でも何も変わらず アメリカ中心に地球は動く この悪世 濁世 末法の世の中で 何を信じていけばなんて この地 この国 見つめてりゃ分かる It’s going down, yo, we got to live now 聞け 心 体 頭 One love we fight for, we march to the end 感覚研ぎ澄まし 耳傾け
ところで“Quality Of Life”の歌詞に色が感じられたので、ライナーのSpecial Thanksを見たところ、マイクロの師匠が田嶋陽子だと判明（法政二高出身じゃ影響を受けるのは無理もない）。実にストレート。これは男の側だけの問題でもないのだが、実態としての男社会にウンザリしている女性におすすめの曲。
女という字は祈る姿 形からできた文字 もし願いが叶うのならば 大きなことを求めて この奴隷制から逃げて見つけて 知らぬ未知の世界を あるフェミニストが言った 2000年間ひっくり返す時が来たぜ 戦争好む男バカどもの家族守ったのも あなたのおかげ だったら平和がやってくる日々も そうそう遠くはないはずだ 全ての人とそれを願い祈る事が ここで今できたなら
最近、音楽から遠ざかっていたが、チーム青森のお気に入りソングや男子フィギュアで使われた“You're Beautiful”などを切り口に、様々な曲に触れはじめた。毎度のことながら、オリンピックには多くの“力”をもらっている。メダルの多寡など、関係ない。
1st Album "Def Tech"
公式サイト（視聴可）
