宮崎駿監督、次回作は金魚姫

orpheus2007-03-21

宮崎駿氏“長男教育”反省し次作製作スポニチ

タイトルは「崖の上のポニョ」。人間になりたいと願う金魚の姫ポニョと、5歳の男子・宗介の物語。宮崎監督が04年に社員旅行で訪れた瀬戸内海の町を気に入り、翌年春に一軒家を借り切って2カ月ほど滞在。その間に構想を練った。鈴木プロデューサーは「“宮崎駿版・人魚姫”のようなイメージ」と話した。
宗介のモデルは宮崎監督の長男吾朗氏(40)。吾朗氏が昨年、「ゲド戦記」で映画監督デビューしたことを、宮崎監督は自分への反抗ととらえ、「こんなことになったのは吾朗が5歳の時、仕事ばかりで付き合っていなかったからだ。二度と吾朗みたいな子をつくらないために」と反省の気持ちを込めているという。

やはり瀬戸内海が舞台だったようだ。アマチュア(息子の宮崎吾朗)を監督に起用して顰蹙を買った「ゲド戦記*1の後で、父親としてもジブリの親方としても威信がかかっているだけに、今回の宮崎作品には“プロフェッショナルの仕事”をいやでも期待せざるを得ない*2。ただ、タイトルは今までの宮崎作品の中で一番生彩を欠いている気がする。例の「ゲド戦記」以来、宮崎監督と鈴木プロデューサーの関係がおかしくなっているというが、それを象徴するかのようなタイトルである。音楽は久石譲。2008年夏公開予定。
スタジオジブリ最新情報(27日に放映予定のNHK特番について)

*1:素人の宮崎吾朗を「ゲド戦記」の監督に抜擢したのは鈴木プロデューサーである。「ハウルの動く城」の制作で手一杯だった宮崎は最後まで反対したが、「ゲド戦記」を「シュナの旅」をベースにして制作することを条件に最後は折れてしまった。以前のエントリでも書いたが、「ゲド戦記」はやはり原作に深く影響を受けている宮崎駿その人が監督すべきだったと思う。漫画版のナウシカを越える出来になっていたかもしれない。だが息子に任せた結果、映画は原作者ル=グウィンの期待を大きく裏切る内容になってしまった。「ゲド戦記」以降、宮崎駿はメディアへの露出度を減らし、ますます口が重くなっているが、新作の製作に没頭することで「罪滅ぼし」をしていたと捉えることも可能だろう。“父殺し”に失敗した息子を父親が自ら葬る。人の業とはかくも恐ろしいものなのである。

*2:過去の例でいえば、宮崎監督は興行的に大きく失敗した作品(例えば、高畑監督の「となりの山田くん」)の後に傑作「千と千尋の神隠し」を作っている実績がある。大きなプレッシャーがかかる程、この監督の創造力は爆発するようだ。そして、それを抜け目なく利用する鈴木プロデューサー。この構図ばかりはさすがに変わっていない模様。