ファースト・インパクトを振り返る

帝国データバンクのリリースによれば、日本企業の2008年の倒産件数は1万2681件で、負債総額は11兆9113億200万円、戦後7番目の水準だった。9月の“リーマン・ショック”で倒産数が急増した2008年に続き、2009年は実体経済の悪化が進み、更なる企業の倒産が懸念される。

2008年上場企業倒産の動向調査(2008年の上場企業倒産は34件、戦後最悪)

2008年は、未曾有の“上場企業倒産ラッシュ”の年となった。米国発の金融危機の影響から国内不動産市場の急減速と信用収縮が深刻化し、新興デベロッパーや地場ゼネコンが“ドミノ倒し”的に相次いで倒産した。実体経済の悪化が急速に進むなか、2009年の上場企業倒産は建設・不動産以外にも業種を拡大させながら、引き続き高水準で推移するおそれもある。(略)

2008年の上場企業倒産は7月以降に急増し、上場廃止の1件を含め34件発生、2002年の29件を上回り、6年ぶりに戦後最悪を更新した。業種別では建設・不動産関連が25件と7割を超え、倒産主因別では販売不振がトップ、倒産前に「不適切な会計処理」が発覚した企業は6件あった。倒産前の直近本決算をみると前期比増収が19件、「黒字倒産」が同じく19件、営業キャッシュフローが赤字の企業が24件と多発した。外部環境の急激な悪化で好業績から一転、倒産に追い込まれる企業が目立った。上場から倒産までの期間をみると5年未満がトップで、最短は㈱モリモトの約9ヵ月。「継続企業の前提に関する注記」の開示状況をみると、34件のうち14件が同注記を倒産前に開示していた。上場市場別ではジャスダックを筆頭に「新興市場」が4割を超えた。

倒産企業の従業員数調査(2008年は12万3477人で、4年ぶりに10万人を上回る )

現在、「百年に一度」と呼ばれる金融危機のなか、景気は急速に後退している。多くの企業は急激に業績が悪化しており、大企業による非正社員の大量解雇、いわゆる「派遣切り」をはじめとした雇用に関する問題が巻き起こっている。雇用問題は消費者心理の悪化につながり、消費の減退を招く恐れもあり、日本経済にとって重要な課題だ。このようななか、企業倒産が起こると大量に雇用が失われることになる。「清算型」(破産、特別清算)の場合、基本的に事業は継続されず、すべての従業員が職を失う。「再建型」(民事再生法会社更生法)の場合は、事業は継続されるものの、多くの場合、コストカットのためリストラが行われ、人員は削減される。(略)

調査結果によると、2008年の倒産企業の従業員数は12万3477人だった。2001年に19万4507人に達して以降、2005年(6万4438人)まで減少を続けていたが、2006年には増加に転じ、2008年は前年比35.1%の大幅増加で、4年ぶりに10万人を超えた。業種別にみると、建設業が3万700人(前年比+58.0%)で構成比約25%を占める一方、運輸・通信業(1万852人、前年比+98.8%)や不動産業(6436人、同+413.6%)での増加も目立つ。1社当たりの従業員数は9.7人(前年8.3人)で、不動産業を中心とした大型倒産が続発した7月以降、増加が顕著となった。