デイ・アフター・トゥモロー

orpheus2004-08-02

★★★☆☆
ハリウッドのパニック映画といえば、脳天気なハッピーエンドと相場は決まっている。本作もそのお約束から逃れることはできなかったが、評価できる点もいくつかある。ひとつはVFXの技術がとてもナチュラルなこと。「ロード・オブ・ザ・リング」のVFXがファンタジー世界を描くために強調して用いられていたのに比べると、本作のVFXは猛威を奮う自然現象を描くことに徹している。それがあまりにもナチュラルなため、劇場で観ている観客は自然の恐ろしさを文字通り“体感"させられてしまう。その意味で、この映画は十分に目的を果たしていると思う。ふたつめは直球勝負であること。ハートウォーミングなファミリーもの、しかも危機に家族を守る父親なんて、あまりにも月並みな設定のように思えるが、本作はその直球勝負で成功しているのだ。それもど真ん中にストライクを決めてくるので、逆にすがすがしくさえある。「ディープ・インパクト」でがっかりした人も、本作は楽しめるのではないだろうか。ローランド・エメリッヒの成長ぶりに驚かされた一本。
(2004,アメリカ)