失われた栄光

4夜連続で放映された「発掘!ローマ皇帝の館」。派手な宣伝文句は民放の常とはいえ、アウグストゥス最後の館と期待された遺跡の地層が実は500年も後のものであると判明した時点でかなりの肩すかし。今回東大チームが発掘調査を進めているソンマ遺跡はヴェスヴィオ火山の北側にあり、紀元79年の噴火で何メートルもの火山灰や土石流に埋まったポンペイヘルクラネウムの街よりもさらに内陸側に位置している。強大な力を誇っていたローマ帝国も埋没してしまったこれらの街の再建は諦めたものの、最高の保養地だったナポリ湾岸地帯の魅力は忘れられず、ソンマをはじめとする周辺の土地に再び街を築いたらしい。

番組のタイトルが妥当なものとは思えないが、今回の遺跡が西ローマ帝国末期の貴族達の暮らしぶりを示す建造物のひとつであることは間違いない。その観点からすれば非常に面白いものが出てきたと思う。なお、少し古い映像になってしまうが、ポンペイヘルクラネウムについてはナショナル・ジオグラフィック社の「ベスビオ 噴火の爪痕」が地質学・考古学的な観点から非常に詳しく分析しているので、入手できる方はぜひご覧になってみてはいかがだろうか。