マリア/孤独な声/セカンド・サークル/クリミアの亡霊/モレク神ほか

orpheus2006-10-21

新文芸座で2回に渡って開催されたアレクサンドル・ソクーロフ作品特集。オールナイトにも関わらず、劇場はかなりの盛況。露文の学生やロシア映画に飢えた連中が集まったようだ。さて、タルコフスキーの後継者ともいわれるソクーロフだが、歳を重ねるにつれ、ただでさえ長いショットがますます冗長になっている。歴史性や永遠なるものが強く志向され、時間はどこまでも引き延ばされてゆく。初期の作品(マリア)に存在していた、時間感覚の何と心地よかったことだろう。時間を失った映像は、色褪せたスチール写真と変わらない。荒涼としたシベリアの大地に横たわる、ソクーロフの感傷。